SST ソーシャルスキルトレーニング / ABA 応用行動分析 / CBT 認知行動療法

対人関係や集団行動を上手に営んでいくための技能を習得する練習

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは

Social Skills Training:SST

「ソーシャルスキル」とは、対人場面において、相手に適切に反応するために用いられる言語的・非言語的な対人行動のことで、その対人行動を習得する練習のことを「ソーシャルスキルトレーニング」といいます。

ソーシャルスキルは先天的に獲得される能力ではありません。

人は生まれてから多くの人たちと関わりながら知識を身につけ成長していきます。
ほとんどの子供は、わざわざトレーニングをしなくても、親や周りの人の行動を見聞きしたり、「挨拶しなさい」「そんなことを言ってはいけません」などのように、言葉で習ったりして、自然に社会生活に必要な行動を習得し、小さな成功体験を積み重ねることで自己肯定感も育っていきます。

しかし、発達面にアンバランスさのある子供は、それらのスキルの習得に何らかの困難さを抱えており、単に学校や家庭等で社会生活を過ごすだけでは適切な対人関係を築くことが難しいのです。その困難さは、その子供の持つ特性によってさまざまです。

たとえば、衝動性が高く感情のコントロールが苦手な子供は、わがままで乱暴な子と誤解されたりします。また、人の表情が読み取りにくく場の雰囲気を理解しにくい子供は風変わりな子・自分勝手な子と思われて、友達との人間関係がうまく築けず集団生活が送りにくかったりしています。特に、集団の中に入りにくい子供にとっては、人との関わりの場を持つことが少なく、スキルの獲得が困難になりやすい傾向があります。

そのため、このような対人関係につまずきを示す子供たちが、それぞれの発達段階において獲得すべきスキルを習得するためには、ソーシャルスキルトレーニングが必要となるのです。

出典および参考サイト:http://www.sstsoft.com/(君ならどうする)

好ましい行動は強化し、好ましくない行動は減らしていく療育

応用行動分析(ABA)とは

Applied Behavior Analysis:ABA

ABAは教育、スポーツ、企業コンサルティング、リハビリ、老年学などに幅広く活用されており、とりわけ自閉症児や発達障害の問題行動を改善するのに用いられます。

たとえばここに、冷蔵庫の前で決まって叫びながらジュースをねだる自閉症の子供がいます。一体なぜこの子はジュースをねだるのに叫ぶのか、ABAではまずその原因探しから始まります。

のどが渇いている、つまり要求が理由で叫ぶ場合、一例として次の療育方法を行います。
子供が冷蔵庫の前まで行った時、叫ぼうとする直前で「のどが渇いた」「ジュース」と言ってこちらから優しく話しかけるのです。
そして、そのすぐあとにジュースを渡してあげます。
今まで、叫ぶというコミュニケーション方法を取っていた子供は、叫ばなくてもジュースがもらえる、ということを学習します。
最終的に子供が自ら「ジュース」という言葉を発して、ジュースがもらえるまで成長させていきます。

もし子供が喋れない場合は言葉の代わりにジェスチャーを教えたり、iPad専用アプリを使ったりして、言語を使わない別のコミュニケーション方法も一緒に学習させていきます。

叫ぶ原因が「大人の気を引きたい」ということもあります。
この場合は、叫んでいない時のみ子供と関わりを持つようにします。反対に叫んでいる時は関わりを持ちません。子供は叫ぶと関わってもらえないということを理解するようになります。そして叫ばなくても気をひくことができるということを学習するのです。

このように、「叫ぶ」という行動ひとつとってみても、その背景にあるものは、子供によってさまざまですが、ABAを用いることで、その行動を起こす原因が何なのか、そしてどのような療育をとればいいのかが見えてきます。

出典および参考サイト:http://www.children-center.jp/(チルドレンセンター)

ABAのさまざまなアプローチ
発達障害分野でも特定の指導法だけではなく、様々な行動を標的とした研究が行われ多くの有効なアプローチが報告されています。

PECS(ぺクス)
『Picture Exchange Communication System:絵カード交換式コミュニケーションシステム』
自閉症やその他のコミュニケーション障害を持つ子供から成人に、コミュニケーションを自発するように教えるための絵カードを使ったユニークな代替コミュニケーション方法です。

・TEACCH(ティーチ)
『Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped Children:自閉症及び関連するコミュニケーション障害をもつ子供たちのための治療と教育』
発達障害の特性を尊重し、その人にあった個別のプログラムを立て、本人・学校(社会)・医療・親など、それぞれの意見を尊重し、連携する。社会が発達障害や自閉症の人達に歩み寄り、彼らがその場面で何をすればよいのかを理解し、彼らが自立して行動出来るように、環境を視覚的に明確化し、彼らの適応能力の不足を補助します。

マイナス思考を少しずつほぐしていく認知療法と行動療法

認知行動療法(CBT)とは

Cognitive Behavioral Therapy:CBT

CBTは”実際にやって試してみる”事を重視した治療法です。

人は困難な状況にあるとき、何をどうしたら良くなるのか判らず、混乱してしまう事があります。それらを整理して、本人にとってやりやすいところから計画を立てて、できる範囲で実行していくのです。

認知行動療法の「認知」とは、思考・考え方の事です。
我々は困難な状態でつらい気持ちの時に、それら状況や気分と関係した「マイナス思考」を持っている事が多いのですが、その気分と関連したマイナス思考を少しずつほぐしていくのが認知療法です。

認知行動療法の「行動」とは、主に、状況・環境とのやりとりを指します。
行動療法とは学習心理学に基づいた人間の行動変容に関する科学的な知見を心理療法に応用したものです。

認知行動療法(CBT)

困った出来事があるとき、それを維持し、悪化させているのはどのような環境や行動なのかについて分析し、それらをコントロールする事によって問題の解決を目指します。

子供や青年期に対する認知行動療法は、大人に対するそれと少し違います。

認知行動療法では「自分で自分の中に治療的構造を構築する」ことが目標になりますが、子供の場合、その発達に応じて、それがどこまで可能かによって、アプローチが変わります。
それぞれの子供特有のファンタジーやルール、 本人の好きな事、喜ぶことにフィットする形で展開する必要があります。

いかに子供にとって治療が楽しく、面白いものになるか、施術者は創意工夫をする必要があるでしょう。また、本人だけでは認知療法・認知行動行動療法に必要な情報が十分得られない、必要な介入が完全に行えない事も多いので、家族、園や学校といった周囲にも働きかけることが重要となります。

出典および参考サイト:http://cbtcenter.jp/cbt/(CBTセンター)