青春は眠さとの戦い?
青春、いわゆる思春期は眠気との戦いでもあります。
特に中学生は急激に背が伸びる時期で、心身ともに大きく成長する時期といわれています。
背が伸びるということは、骨にもたくさん栄養を与えなければなりませんから、カルシウムはとても大切です。
また、この時期は日々、勉強や進学問題・友人関係・部活関係に悩み、大人なら簡単に解決できることでも、やたらに悩んでしまったりとストレスが多い時期でもあります。
また、一度の寝坊から二度の寝坊~学校を休んでしまう、ということもあります。
■カルシウムって?
すべての物質は原子がたくさん集まってできていますが、1種類の原子だけでできている物質もあます。
これが元素といわれるものですが、カルシウムはこの元素です。
例えば、ビタミンは炭素、酸素、水素などの元素からできている化合物に対し、カルシウムはそれだけではたらきがあります。
カルシウムはおよそ体重の2%含まれています。
50kgの体重の人なら約1kgのカルシウムが身体にあるということです。
そのうちの約99%(約990g)は骨にあり、残りの1%(約10g)は血液中や細胞に存在します。
■カルシウムはなぜ必要なの?
カルシウムは骨をつくるだけでなく、血液中や脳、心臓などにも存在します。
また、毎日なにも食べなくても、カルシウムの量は1日600mgぐらいは尿や便となって体外へ出てしまいます。
カルシウムが不足すると骨が弱くなり、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などになりかねませんし、「カルシウムが足りないとイライラする」というのも本当で、血液中のカルシウム濃度が低くなると、イライラするだけでなく、筋肉がけいれんしたりすることもあります。
■カルシウムとマグネシウムは睡眠の味方
ストレスを受けると人体の中には乳酸が溜まってきます。この乳酸は睡眠を誘うカルシウムの働きを弱めたり、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を妨げたりするため、ストレスを感じているときはぐっすり熟睡できません。
一般的には、乳酸は激しい運動をした後に体内で作られる疲労物質です。しかし、たとえ肉体的に疲れていなくても、精神的ストレスを受けると乳酸が作られ、脳の機能が正常に働かなくなってしまうのです。
このように、ストレスは精神面の影響だけでなく、人体に物理的な影響を与えてしまうのです。
カルシウムには気持ちを落ち着かせて穏かな睡眠に誘導する作用がありますが、たくさん摂れば摂るほどいいというものではありません。
カルシウムと同時にマグネシウムを摂取することも大切です。マグネシウムにはカルシウムの吸収を助ける働きがあるためです。
マグネシウムとのバランスも大切で、カルシウム:マグネシウム=2:1、もしくは3:1の割合で摂取するのが理想的といわれています。
また、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を助ける脳内物質セロトニンが作られる時にも、マグネシウムは必要な栄養素になるため、マグネシウムは睡眠にとって大きな役割を果たし、不眠症やストレスに対して有効に作用します。
■ビタミンCとビタミンDも大切
ビタミンDは腸でのカルシウムの吸収を促進し、また骨への沈着を助ける働きもあるので、いっしょに取ると効果的です。またビタミンCも、骨や筋肉の結合にかかせないコラーゲンの生成に必要な成分ですので、あわせて取ることで骨の生成が助けられます。
■やっぱり牛乳
カルシウムをもっとも効率よく摂取するのに最適なのはやはり牛乳です。
乳糖(牛乳に含まれる糖分)、カゼイン(牛乳に含まれるたんぱく質)、リジン(たんぱく質を構成しているアミノ酸の一種)、アルギニン(アミノ酸の一種)、クエン酸も、カルシウムの吸収を高めるのに効果的だといわれています。牛乳が他の食品に比べてカルシウムの吸収率がいいのはこのような栄養素の作用も一因となっているからです。
■適度な運動
運動などで骨に力が加わると、骨を頑丈にするべく、骨を作る細胞の活動が活発になります。そうすると必要となるカルシウムの量も増え、カルシウムの吸収率、体内にあるカルシウム総量が増加します。適度な運動は骨を丈夫にするだけでなく、カルシウムの吸収率UPにも効果的です。
■カルシウムを多く含む食品
まずはチーズや牛乳などの乳製品全般。
魚介類では干しエビ、煮干し、わかさぎ、ししゃもなど。(どじょうも多いですが日常スーパーで手に入るものでもないので^^;)
藻類はひじき、あおのり、こんぶなど。
野菜類はパセリ、モロヘイヤ、大根の葉、かぶの葉など。
その他はごま、油揚げ、ミルクチョコレート、アーモンドなど。
■マグネシウムを多く含む食品
マグネシウムは青菜類や種実類に豊富に含まれています。
種実類とは、以下のようなものです。
また、カキやホタテなどの貝類にも多く含まれていて、レモンをかけるとカルシウムの吸収力がさらにアップします。カキにレモンをかける習慣にはちゃんと意味があったんですね。
藻類ではカルシウムの項と同じく、ひじき、あおのり、にぼし、こんぶ、わかめなど。
他には、小麦胚芽も多いです。
■ビタミンDを多く含む食品
ビタミンDを摂取できる食品というのは実はそれほど多くはなく、野菜やいも類、豆類をはじめとした多くの食品群でほとんど含まれていないビタミンです。
しかし魚類だけは別で、全般に多く含まれているのが特徴なので、ビタミンDを摂取するには最適です。
特に多いのはあんこうのきも、ですが、もっと手に入りやすいものでは、さけ、にしん、さんま、うなぎです。
その他は、かれい、さば、いわし、すずきなど。
またきくらげなら、魚介のさけと同じぐらいの含有量があります。
■ビタミンCを多く含む食品
ビタミンCを多く含む食品として、パセリやブロッコリー、ピーマンなどの緑黄色野菜、レモンやいちごなどの果物があげられます。含有量では劣るものの、量を取れる分芋類や豆類なども、供給源としては効率的です。その他緑茶などもビタミンCが豊富です。
野菜は多い順に、ピーマン(赤・黄・青)、芽キャベツ、パセリ、にがうり(油いため)、ブロッコリー、カリフラワー、かぶの葉など。
果物は多い順に、アセロラ、ゆず、レモン、柿、キウイ、あけび、いちご、ネーブルなど。
ということで、眠くて眠くて、十分睡眠をとっているのにどうしても眠くなってしまう生徒さんは、一度、思春期の成長とカルシウム不足とストレスの関係を考えていただき、まずは食生活から少しづつ改善を試みてはいかがでしょうか?
意外と効果があるかもしれません。